真・女神転生IV FINAL(ファイナル)

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2015 November 13真4Fと神話世界への旅

塩田信之の真4Fと神話世界への旅
第4回 神秘思想と悪魔サタン

例として挙げるなら、「グノーシス主義」は「世界を創ったのは造物主で、唯一神ではない」という実に込み入った理由を時間をかけて構築しました。「デミウルゴス」という名の造物主は、完全な世界にいる唯一神から、低級な現実世界に流出した神性からできた不完全な神で、自身を唯一神だと思い込み「ヤハウェ」と名乗ったものの、さまざまな問題の生じる不完全な世界創造しかできなかったという考え方です。寓話として面白くできていて興味深い世界観が構築されているのですが、いわゆる一神教のすべてが信望する「唯一神そのもの」が偽物だったという信教を根底から覆す話なのですから、認めてもらえるはずがありません。教団からは「デミウルゴスこそサタンである」と断罪されることになります。

そんな経緯で誕生した「邪神デミウルゴス」が、前作『真・女神転生IV』においてルシファーから依頼される「チャレンジクエスト」のボスキャラとして登場しています。メガテンシリーズでは、常連キャラクターといえるルシファーとサタンが別個の存在として稀に登場しています。「混沌(カオス)」の象徴的存在であるルシファーに対し、サタンは「秩序(ロウ)」側の立ち位置にいて対立関係にあることが描かれてきました。今回の『真・女神転生IV FINAL』でサタンあるいはデミウルゴスが登場するのかは現時点で明らかにはなっていませんが、前作やそれ以前のシリーズ作品を踏まえてこうした関係が再度描かれるであろうことは期待できます。可能ならば、元になった物語にも触れて「予習」することをオススメしたいと思います。
 さて次回のテーマは、「メデューサとギリシア神話」の予定です。お楽しみに。

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※画像は、『真・女神転生IV』に登場したデミウルゴスです



塩田信之(NOBUYUKI SHIODA)

故成沢大輔氏と共に「CB’s PROJECT」を立ち上げ、『真・女神転生のすべて』『デビルサマナー ソウルハッカーズのすべて』など、これまで数多くのメガテン関連の攻略本やファンブックに携わってきたフリーライター。近著は『真・女神転生IV ワールドアナライズ』(一迅社)。
※ゲームに関する記述は取材と開発スタッフによる監修に基づいています。歴史・宗教観については諸説あり、ライター個人の解釈に基づいています。