2015 December 18真4Fと神話世界への旅
塩田信之の真4Fと神話世界への旅
第9回 トウテツと中国神話
天孫降臨により九州の日向の地に降り立ったとされる天津神たちは、現実として見れば中国あるいは日本にとって隣国である「韓国(からくに)」から渡ってきたと考えるのが自然です。そんな天津神たちが携えてきた神話に、いってみれば「中国神話」の変形版といえるイザナギ・イザナミ神話が含まれていたことも自然なことでしょう。天津神たちの神話によって駆逐されていく国津神の神話は天孫降臨以前に浸透していたより古い神話と考えられ、そこには中国を経由しなかった東南アジアやインド系の神話が原形としてあったのかもしれません。そうなってくると日本独自の神話というものは本当にあるのだろうかといった疑問も湧いてくるのですが、日本神話を理解する上で中国や日本の周囲に伝わる神話を検証する必要があることは間違いありません。例えば、日本の昔話「桃太郎」は犬・猿・キジをお供に鬼退治をする物語の基本構造が『西遊記』に由来しているともいわれますが、それこそ『西遊記』を検証することが『桃太郎』を理解することに繋がるわけです。
「邪馬台国」の記録が残る中国の『三国志』時代の史書『魏志倭人伝』にもある通り、中国や韓国から日本に渡るには対馬海峡を対馬を伝い渡るルートが基本です。対馬には神話・宗教を含めて日本と中国の文化が融合したような例が多数見られることが知られているのですから、対馬の文化を日本あるいは中国の文化と比較していくことで見えてくることも多いのではないかと思われます。国内外の情勢から、こうした比較研究や学説の構築がやりにくい側面はありそうですが、気兼ねなくそれらを行える時代がいつの日か来ることを祈ります。
「邪馬台国」の記録が残る中国の『三国志』時代の史書『魏志倭人伝』にもある通り、中国や韓国から日本に渡るには対馬海峡を対馬を伝い渡るルートが基本です。対馬には神話・宗教を含めて日本と中国の文化が融合したような例が多数見られることが知られているのですから、対馬の文化を日本あるいは中国の文化と比較していくことで見えてくることも多いのではないかと思われます。国内外の情勢から、こうした比較研究や学説の構築がやりにくい側面はありそうですが、気兼ねなくそれらを行える時代がいつの日か来ることを祈ります。
次回は、日本の東北・北海道に目を向けて「○○とアイヌ神話」のテーマでお送りします。「○○」がどんな悪魔かについては、公開時のお楽しみとなります。それではまた。
塩田信之(NOBUYUKI SHIODA)
故成沢大輔氏と共に「CB’s PROJECT」を立ち上げ、『真・女神転生のすべて』『デビルサマナー ソウルハッカーズのすべて』など、これまで数多くのメガテン関連の攻略本やファンブックに携わってきたフリーライター。近著は『真・女神転生IV ワールドアナライズ』(一迅社)。
※ゲームに関する記述は取材と開発スタッフによる監修に基づいています。歴史・宗教観については諸説あり、ライター個人の解釈に基づいています。