真・女神転生IV FINAL(ファイナル)

TOPICS

2015 November 06真4Fと神話世界への旅

塩田信之の真4Fと神話世界への旅
第3回 クリシュナとインド神話

新しいヒンドゥー教の教えではヴィシュヌの力が増していき、さまざまな英雄を「実はヴィシュヌの化身だった」という後付け設定を加えることでどんどん吸収していきます。『ラーマーヤナ』の主人公ラーマ王子や、人獅子ナラシンハ、さらにはブッダことお釈迦様までアヴァターラのひとつとすることで仏教自体も取り込もうとした意図が見えてくるあたり、クリシュナとその意思を受け継いだ人々は実に野心的です。ヒンドゥー教の枠組み内でも、バラモン教時代からヴィシュヌ以上に人気のあったシヴァを、ブラフマーを媒介させることでヴィシュヌと一体化させる「トリムルティ」という概念が作られていますし、キリスト教における「三位一体」同様いささか強引な求心力増加があったのではないかと思われます。

その後、やっぱりシヴァはシヴァで強大な勢力を保ち続けていますし、シヴァの息子である商売神ガネーシャの信仰が強くなっていったり、女神信仰が盛んになったり、さらにはインドがイスラム教支配下に置かれる大事件があったりと、ヒンドゥー教内の趨勢も時とともに変わっていきます。そんな変化を、クリシュナはどう見てきたのだろうかと考えてみたりすると、『真・女神転生IV FINAL』で重要なキーパーソンとなるクリシュナの存在感がまた違ってくるのではないでしょうか。

ヴィシュヌのアヴァターラやガネーシャ信仰、ヒンドゥーの七母神等、まだまだ語りたい要素はたくさんあるのですが、今回はここまで。次回は「神秘思想と悪魔サタン」を取り上げます。お楽しみに。

1106_2


塩田信之(NOBUYUKI SHIODA)

故成沢大輔氏と共に「CB’s PROJECT」を立ち上げ、『真・女神転生のすべて』『デビルサマナー ソウルハッカーズのすべて』など、これまで数多くのメガテン関連の攻略本やファンブックに携わってきたフリーライター。近著は『真・女神転生IV ワールドアナライズ』(一迅社)。
※ゲームに関する記述は取材と開発スタッフによる監修に基づいています。歴史・宗教観については諸説あり、ライター個人の解釈に基づいています。