真・女神転生IV FINAL(ファイナル)

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2015 October 23真4Fと神話世界への旅

塩田信之の真4Fと神話世界への旅
第1回 一神教と多神教

『旧約聖書』には、古代の四大文明でもっとも古いとされるメソポタミア文明に含まれるシュメール文明やバビロニア、アッシリア等、現在のシリアやイラクあたりの多神教文化から取り入れた要素が数多く見られます。例えば「ノアの方舟」の元になった洪水物語がシュメール王を主人公とした『ギルガメシュ叙事詩』にあったり、神が天地創造の5日目に造った竜の怪物レヴィアタンはメソポタミア一帯で広く信仰されていた雷神バアルの退治する竜リタンが元になっていることなどが挙げられますが、バアルは聖書の中で邪教の崇める対象に貶められておりその地域での宗教的対立関係が反映されていると思われるところも興味深い要素です。
 信仰対象を唯一神に一本化したら、ほかの神格は吸収するか悪魔とみなして対立することになるのですから、「一神教と多神教」の対立構造というものは「天使と悪魔」の対立よりもよほど根深いものということが理解できます。

 

『真・女神転生IV FINAL』では、天使と悪魔がいったん協力関係となった「一神教」勢力と、クリシュナが代表的な立場となる「多神教」連合の対立が描かれることになります。命を落とした主人公をよみがえらせるダグザは多神教連合に含まれる「ケルト神話」の主神格で、クリシュナやダグザが連合の中でどのような立場にいるのかといったところも興味深いところで、対立構造が戦争に発展した際に、どんな戦いが繰り広げられるのか気になるところです。
さて次回は、今作のキーとなる悪魔、ダグザとケルト神話について掘り下げていきたいと思います。お楽しみに。

 



塩田信之(NOBUYUKI SHIODA)

故成沢大輔氏と共に「CB’s PROJECT」を立ち上げ、『真・女神転生のすべて』『デビルサマナー ソウルハッカーズのすべて』など、これまで数多くのメガテン関連の攻略本やファンブックに携わってきたフリーライター。近著は『真・女神転生IV ワールドアナライズ』(一迅社)。

※ゲームに関する記述は取材と開発スタッフによる監修に基づいています。歴史・宗教観については諸説あり、ライター個人の解釈に基づいています。